VBEマルチプライヤ

VBEマルチプライヤは、電子回路の教科書ではプッシュプルアンプのバイアス電圧生成用として紹介されることが多いですが、Widlarバンドギャップリファレンスの原型と考えることもできます。左の回路の出力電圧は

\begin{align} V_{out1}=\left(1+\frac{R_2}{R_1}\right)V_{BE1} \end{align}

となります。VBE1は約-2mV/℃の負の温度係数であるため、I1, Vout1も負の温度係数となります。この回路は温度係数が大きく、基準電圧源には適しません。

ちなみに、R1をWidlar電流源で置き換えた回路がWidlarバンドギャップリファレンスで、I1が正の温度係数となり、Vout1の温度係数がゼロとなります。

Q1のコレクタ電流は電源電圧に依存するため、VBE1, Vout1も電源電圧に依存します。 右側の回路はQ3をバッファとして追加した回路で、Q2のコレクタ電流, VBE2, Vout2の電源電圧依存性が小さくなります(ただし、温特は改善されません)。