移相形発振回路 Phase-Shift Oscillator

動作原理

移相形発振回路は、図1(a)のように反転アンプと移相回路(位相をシフトさせる回路) H(s)で正帰還ループを構成した回路で、移相回路における移相シフトが180度となる周波数でループゲインが1となって発振します。

図1: 移相発振回路の動作原理

移相回路の伝達関数及び発振条件は次式のようになります。

HPF型移相回路の場合
\begin{align} \text{移相回路の伝達関数:}\quad &H(s)=\frac{s^3}{s^3+\frac{6}{CR}s^2+\frac{5}{CR}s+\frac{1}{C^3R^3}}\\ \text{発振条件:}\quad &\omega=\frac{1}{\sqrt{6}CR}\ ,\ K\gt 29 \end{align}

LPF型移相回路の場合
\begin{align} \text{移相回路の伝達関数:}\quad &H(s)=\frac{\frac{1}{C^3R^3}}{s^3+\frac{5}{CR}s^2+\frac{6}{CR}s+\frac{1}{C^3R^3}}\\ \text{発振条件:}\quad &\omega=\frac{\sqrt{6}}{CR}\ ,\ K\gt 29 \end{align}

移相回路の周波数特性

移相シフトが180度となるときのゲインは約−30dBとなります。


R3省略版

R3を省略してC3を直接イマジナリーショートの端子に接続した場合の発振条件は以下のようになります(C1=C2=C3=C, R1=R2=R)。

\begin{align} &\omega=\frac{1}{\sqrt{3}CR}\\ &R_4\gt 12R \end{align}