過電流保護回路の考え方

三端子レギュレータの出力回路は、図1のようにpnpエミッタフォロア(Q4)でダーリントン接続エミッタフォロア(Q1,Q2)を駆動する回路構成となっています。Rscは出力電流検出用抵抗、Q3は出力電流Ioutの大小に応じてオン/オフするスイッチとして動作します。

図1 垂下形過電流保護回路

通常動作時はRsc両端の電圧が小さく、Q3はオフとなります。 Ioutを徐々に増やすと、Ioutの増分はQ2から供給されます。Q1,Q2によるダーリントン接続の電流増幅率が大きいため、Q2のコレクタ電流が変化してもIB1はほとんど影響を受けず、VB1電圧もほとんど変化しません。よって、Voutも一定電圧を保ちます。 Ioutの増加とともにRsc両端の電圧 (=Q3のベース-エミッタ間電圧VBE3)も増加し、VBE3がオン電圧(約0.7V)となるとQ3がオンします。

Q3がオンすると、IB1を誤差信号とした負帰還ループ (Q1 → Q2 → Q3 → Q1) ができるので、IB1=一定となってQ1,Q2は定電流動作となります。

Q3がONした後もさらにIoutを増やすと、Ioutの増分は(Q2ではなく)IC3から供給されるので、そのぶんだけIC4が減少します(IC4=Ibias-IC1-IC3)。 そしてIC3≥Ibias となるとQ4がオフし、ノードVB1はハイインピーダンスノードとなるので、VB1,Voutが急しゅんに低下します。