ざわざわシミュレータ 組み込み関数一覧

ざわざわシミュレータでは、ノード電圧・電圧源電流はすべて保存され、設定なしでプロットすることができますが、あるノードと他のノードの電圧差、電圧の絶対値などは、.CALCステートメント(部品名: spice)で組み込み関数を適用して計算する必要があります。



組み込み定数
組み込み定数内容
frequency周波数 (Hz)
omega角周波数=2π×frequency (rad/s)
組み込み関数
書式.OP
.DC
.TRAN
.AC.SP内容
y=add[V(x1),V(x2)]OOOV(x1)+V(x2)を計算します
y=V(x1)+V(x2)
y=sub[V(x1),V(x2)]OOOV(x1)−V(x2)を計算します
y=V(x1)-V(x2)
y=mul[V(x1),V(x2)]OOO要素ごとにV(x1)×V(x2)を計算します
y=V(x1)*V(x2)
y=div[V(x1),V(x2)]OOO要素ごとにV(x1)/V(x2)を計算します
y=V(x1)/V(x2)
y=abs[V(x)]OOO実数及び複素数の絶対値を計算します
y=arg[V(x)]OO(複素数の)偏角を計算します
y=real[V(x)]OO複素数の実部を返します
y=imag[V(x)]OO複素数の虚部を返します
y=dB[V(x)]OOデシベル20*log10(abs[V(x)])を計算します
y=ztor[Z,Z0]OOインピーダンスを反射係数に変換します
y=rtoz[S(i,i),Z0]O反射係数をインピーダンスに変換します
y=Rollet[frequency]ORollet stability factorを計算します
y=Delta[frequency]OSパラメータの行列式の絶対値|S11S22−S12S21|を計算します
y=MAG[frequency]OMaximum available gainを計算します
y=StabCircleS[frequency]O信号源側stability circleを計算します
y=StabCircleL[frequency]O負荷側stability circleを計算します
y=GaCircle[frequency,gain]OAvailable power gain circleを計算します
y=GpCircle[frequency,gain]OOperating power gain circleを計算します
y=NoiseCircle[frequency,nf,modelname]ONoise circleを計算します

※ − は指定しても何も計算されません

※ 1つの.CALCステートメントにスペース区切りで複数の計算式を記述することができます。各式は空白を空けずに記述してください。

※ 組み込み関数は入れ子にできません。2つの関数を適用する場合は、2つの式として記述します。

例: ノード1と2の差を10倍

.CALC diff=V(1)-V(2) vout=2*diff

※ 定数の中に +, −, *, / が含まれる場合は、カッコ( )でくくってください。

例: 電圧源V1の電流の符号を反転

.CALC Iout=(-1)*I(V1)
または、以下のように記述することもできます。この式は、0−I(V1)と等価です。
.CALC Iout=-I(V1)

※ いくつかの組み込み関数は自動計算されるので、.CALCステートメントでの指定は不要です。

.AC解析: netlabelを使用してネット名を付けたノードのdB, arg
.SP解析: S(i,j)のdB, S(i,j)のarg, Rollet, Delta, MAG, StabCircleS, StabCircleL


インピーダンスを反射係数に変換: ztor[Z,Z0]

Z0を特性インピーダンスとしてインピーダンスZを反射係数Γに変換します。

\begin{align} \Gamma = \frac{Z-Z_0}{Z+Z_0} \end{align}

反射係数をインピーダンスに変換: rtoz[S(i,i),Z0]

Z0を特性インピーダンスとして反射係数S(i,i)をインピーダンスに変換します。

\begin{align} Z = Z_0\frac{1+S(i,i)}{1-S(i,i)} \end{align}

Rollet Stability Factor: Rollet[frequency]

Rolletのstability factorは次式のように定義されます。

\begin{align} &K=\frac{1-|S_{11}|^2-|S_{22}|^2+|\Delta|^2}{2|S_{12}S_{21}|}\\ &\Delta =\begin{vmatrix} S_{11}&S_{12}\\ S_{21}&S_{22}\\ \end{vmatrix} = S_{11}S_{22} - S_{12}S_{21} \end{align}

K>1かつ|Δ|<1ならば、あらゆる信号源インピーダンス、負荷インピーダンスに対して安定です。


MAG maximum available gain: MAG[frequency]

Rolletのstability factor K>1ならばmaximum available gain (MAG)を返します。K≤1ならばmaximum stable gain (MSG)を返します。

\begin{align} \text{MAG}&=10\log\left[\frac{|S_{21}|}{|S_{12}|}\left(K+\sqrt{K^2-1}\right)\right] \ , K\gt 1\\ \text{MSG}&=10\log\left[\frac{|S_{21}|}{|S_{12}|}\right] \end{align}

Source Stability Circle: StabCircleS[frequency]

Source Stability circle

信号源側stability circle (source stability circle)とは、負荷側から見た反射係数が|Γout|<1となるような、信号源の反射係数ΓSの範囲を図示したものです。これは、中心C及び半径rが次式で与えられる円となります。

\begin{align} &C = \frac{(S_{11}-\Delta S_{22}^*)^*}{||S_{11}|^2-|\Delta|^2|}\\ &r = \frac{|S_{12}S_{21}|}{||S_{11}|^2-|\Delta|^2|}\\ &\Delta =\begin{vmatrix} S_{11}&S_{12}\\ S_{21}&S_{22}\\ \end{vmatrix} = S_{11}S_{22} - S_{12}S_{21} \end{align}

Load Stability Circle: StabCircleL[frequency]

Load Stability circle

負荷側stability circle (load stability circle)とは、信号源側から見た反射係数が|Γin|<1となるような、負荷の反射係数ΓLの範囲を図示したものです。これは、中心C及び半径rが次式で与えられる円となります。

\begin{align} &C = \frac{(S_{22}-\Delta S_{11}^*)^*}{||S_{22}|^2-|\Delta|^2|}\\ &r = \frac{|S_{12}S_{21}|}{||S_{22}|^2-|\Delta|^2|}\\ &\Delta =\begin{vmatrix} S_{11}&S_{12}\\ S_{21}&S_{22}\\ \end{vmatrix} = S_{11}S_{22} - S_{12}S_{21} \end{align}

Available Power Gain Circle: GaCircle[frequency,gain]

負荷側が整合していると仮定した場合、所望の電力ゲインを得るための信号源反射係数ΓSの範囲を返します。


Operating Power Gain Circle: GpCircle[frequency,gain]

信号源側が整合していると仮定した場合、所望の電力ゲインを得るための負荷側反射係数ΓLの範囲を返します。


Noise Circle: y=NoiseCircle[frequency,nf,modelname]

信号源側平面における等ノイズ円を返します。

\begin{align} &c=\frac{\Gamma_{opt}}{1+N_i}\\ &r = \frac{\sqrt{N_i^2+N_i(1-|\Gamma_{opt}|^2)}}{1+N_i}\\ &N_i=\frac{F-F_{min}}{4r_n}|1+\Gamma_{opt}|^2 \end{align}