ざわざわシミュレータの特長・注意事項と活用事例
特長と注意事項
特長
- インストール不要ですぐに使用できます。
- DC解析、過渡解析、AC解析、Sパラメータ解析が可能です。部品メーカが提供するSパラメータファイル(s2pファイル)を使用したシミュレーションもできます。
- 解析後のノード電圧は、電圧をチェックしたいノードにマウスオーバーすれば表示されます。
- Sパラメータ解析では、stability circle等を使用したRFアンプの設計ができます。
- 回路図に日本語テキストボックス(html形式で記述)、数式(LaTeX形式で記述)を置くことが可能です。htmlで定義されている記号・箇条書き等の機能がそのまま利用可能です。
- 回路図はローカルフォルダに保存することができます(ファイル形式 .xml)。
※ 本ホームページに記載していない機能につきましても、アドオンで対応可能な場合がありますので、お問合せください。
注意事項
- HTML5が動作するブラウザが必要です。
- ネットリスト・デバイスモデルの書式はSPICEを基本としていますが、独自機能を追加しているため、完全に互換がある訳ではありません。
- ブラウザ上で動作するため、一般的な市販シミュレータほど高速動作ではありません。
- 高速化のため、トランジスタやダイオードのモデルは、やや簡略化したものを使用しています。
- シミュレーション速度はお使いのPCのCPU能力に依存します。また、ブラウザによっても若干の違いがあります。
- ノード数の制限はありませんが、ブラウザ上で動作するため、操作性・動作速度の観点から大規模な回路はお勧めできません。また、回路形式や回路定数によっては解析が収束せず、途中でシミュレーションが終了する場合があります。
- 階層図面は2層までです(トップ図面+サブサーキット図面)。
- 動作確認は、Windows版Microsoft Internet Explorer, Mozilla Firefox, Google Chromeでおこなっております。使用するブラウザによって操作性が若干異なる場合があります。タブレット・スマホでは正常動作しない場合があります。
- インターネットに接続しないローカル環境でも動作しますが、ブラウザの仕様により一部機能が動作しない場合があります(Firefoxではすべての機能が無条件で動作します)。
IE11 | Chrome | Firefox | |
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回路図エディッタ起動、回路図ファイル(.xml)の読み込み | O | O (注1) | O |
ローカルフォルダのSパラメータファイル(.s2p)の読み込み | X (注2) | O (注1) | O |
リサイクル(一時保存)機能 | X (注3) | O (注1) | O |
(注1) 起動オプション「-allow-file-access-from-files」を付けてブラウザを起動する必要があります。
(注2) IEの場合ローカル環境では.s2pファイルを使用したSパラメータシミュレーションはできません。textareaを使用して手動でコピペすれば可能です。
(注3)リサイクルを使用した一時保存はできませんが、通常の保存はできます。ただし、の中に自動バックアップファイルは作成されません。
活用事例: 高周波回路のSパラメータシミュレーション
Sパラメータ解析は、パラメータが複素数の数表で与えられるため、低周波回路の解析のように電卓だけで計算することは困難です。Sパラメータに対応したシミュレータを使用する必要がありますが、設定が難しくとっつきにくいものが多いです。ざわざわシミュレータは、Sパラメータに関する知識があまりなくても使えるように、安定係数(stability factor)、stability circle等の主要なパラメータは自動的に計算します。
高周波アンプのSパラメータ シミュレーション
高周波アンプの設計では、ゲインの周波数特性に加え、安定係数等発振対策のシミュレーションも不可欠です
- トランジスタのSパラメータモデルファイル(s2pファイル)を使用したシミュレーションが可能です。
- S11,S22,S12,S21に加え、stability factor, stability circle, maximum available gain, maximum stable gain, available power gain circle, operating power gain circleを計算し、スミスチャート上にプロットすることができます。
- ワンクリックでモデル変更しシミュレーションを実行することができます。
上の図では、スイープ周波数範囲においてstability circleがスミスチャートの中に入り込まないことより、安定であることがわかります。
※ noise circleはs2pファイルの中にノイズパラメータが含まれている場合にプロット可能です。
フィルタ回路のSパラメータシミュレーション
部品メーカの提供するs2pファイルを使用して、受動部品の損失を考慮したシミュレーションが可能です。 ワンクリックでモデル変更・シミュレーション再実行ができ、使用するモデルによって回路特性がどのように変化するのか確認できます。
バラン、高周波スイッチのシミュレーション
Sパラメータシミュレーションのポート数は9個まで可能です。バランや高周波スイッチ(SPDTスイッチ)のシミュレーションも可能です。
マイクロストリップ(無損失伝送線路)のシミュレーション
無損失伝送線路のシミュレーションが可能です。特性インピーダンスZ0、速度係数VF(velocity factor)、長さLを指定します。
活用事例: オペアンプ回路の設計
低周波アナログ回路の設計は、オペアンプを使用するのが一般的です。オペアンプ回路の設計は、手早く回路定数を決め、シミュレーションで動作チェックをおこない、実機で詳細解析をします。
オペアンプのマクロモデルは、電圧制御電圧源(vcvs)を使用した理想オペアンプ、帯域制限付きオペアンプが標準で利用可能です。自作することもできます。
活用事例: トランジスタ回路の解析
電子回路の設計においてICの内部回路を知らなくても特に困ることはありませんが、ICの内部回路を理解できるようになると、電子回路に対する理解力が飛躍的にアップします。
下図は78シリーズ三端子レギュレータの内部回路で、入出力電圧特性と過電流保護回路の特性(フの字特性)をシミュレーションしています。ノード電圧はマウスオーバーすれば表示されるので、過電流保護回路、スタートアップ回路部分で通常動作時にオフしているトランジスタが簡単に確認できます。