LM78XX三端子レギュレータ

Widlarバンドギャップリファレンスを使用した三端子レギュレータは、1971年に発行されたWidlar氏の論文を起点としていますが、下の回路が掲載されています。

少しわかりにくい回路ですが、R6にPTAT電圧が発生します。R3電圧は小さいので無視して計算すると

\begin{align} V_{R6} &= V_{BE2}+V_{BE3} -(V_{BE4}+V_{BE5})\\ &=V_T\ln\left(\frac{I_{C2}}{I_{C4}}\right)+V_T\ln\left(\frac{I_{C3}}{I_{C5}}\right)\\ &\approx V_T\ln\left(\frac{R_5}{R_4}\right)+V_T\ln\left(\frac{R_7}{R_2}\right)\\ &\approx117\text{ mV @300K} \end{align}

となります。VREFは次式のようになります。

\begin{align} V_{REF} = V_{BE6}+V_{BE7}+V_{BE8}+\frac{R_7}{R_6}V_{R6} \end{align}

VBE6,VBE7,VBE8はそれぞれ約−2mV/℃で変化するので、上式の第4項は約+6mV/℃となるようにR7/R6比を設定します。VR6は絶対温度Tに比例するので

\begin{align} V_{REF} = V_{BE6}+V_{BE7}+V_{BE8}+0.006T \end{align}

となります。T=300KでVBE6,VBE7,VBE8≈0.65Vとすると

\begin{align} V_{REF} \approx 3.75\text{ V} \end{align}

となります。


基本回路

Q1,Q6とQ2,Q7のVBE電圧の差をR3につくり、PTAT電流を生成しています。R2/R1比をn、R7/R6比をmとし、R9電圧を無視すると

\begin{align} &V_{R3}=(V_{BE1}+V_{BE6})-(V_{BE2}+V_{BE7})=V_T\ln(mn)\ ,\text{whre }n=\frac{R_2}{R_1}, m=\frac{R_7}{R_6}\\ &I_{R3}=\frac{V_T\ln(mn)}{R_3} \end{align}

となります。R2/R1比はQ1とQ2のコレクタ電流比、R7/R6はQ6とQ7のコレクタ電流比を設定しています。R9はQ1のコレクタ電流の電源電圧依存性を抑えるために使用していると思われます(ピーキング電流源と同じ理由です)。

\begin{align} R_9\approx \frac{1}{g_{m1}}=\frac{V_T}{I_{C1}} \end{align}

が最適値です。