BJTカレントミラー回路(基本回路と実用回路)
もっともシンプルなBJTカレントミラー
Q1とQ2のVBEが同じなので両者のコレクタ電流がほぼ同じになります。しかし、- Q1とQ2のコレクタ電圧が異なる
- Q1のコレクタ電流=I1−(Q1,Q2のベース電流の和)となる
に起因した誤差が生じるのでIout=I1となりません。トランジスタの電流増幅率をβとすると、電流比は次式のようになります。
IoutI1=11+2βトランジスタのアーリ効果のため、定電流性は良くありません。
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エミッタ抵抗付きBJTカレントミラー
もっともシンプルなカレントミラーと比較して定電流性はよくなっています。しかし、よく見ると入力電流I1に対して出力電流I2がやや小さいことがわかります。これは、I1の一部がQ1,Q2のベースに流れるためです。Q1,Q2のベース電流をIBとすると
IC2≈IC1=I1−2IB
と2つのトランジスタのベース電流の分だけコレクタ電流が少なくなります。
カレントミラーのエミッタに抵抗を付けると、局所帰還がかかり出力抵抗がブーストされます。
BJTカレントミラーの実用回路
これが実用的なカレントミラー回路で、オペアンプの内部回路などで見かけます。
Q1,Q2のベース電流によってQ1,Q2のコレクタ電流が減ってしまうのを防ぐため、Q3(エミッタフォロア)を追加しています。R3はQ3のコレクタ電流を設定するための抵抗です。また、Q1とQ2のコレクタ電圧をほぼ同じにするため、Q4を追加しています。
定電流性がよく(出力抵抗が大きく)、かつ入力電流≈出力電流となります。
Wilsonカレントミラー回路
Wilsonカレントミラーは、シンプルな構成にもかかわらず、ベース電流の影響が小さく高出力抵抗です。
一見すると電流が流れるの?と思いますが、すべてのトランジスタがオフと仮定して電流I1を流すと、まずQ3,Q4のベース電流が流れてオン、Q4がオンするとそのエミッタ電流がQ1,Q2のベースに流れてオンします。この4つのトランジスタが負帰還ループを構成しているので、高出力抵抗となります。